子供の頃、交通事故で、瀕死の重症を負ってしまった少女・沢井かおり。
彼女は死の淵から自分の生命を救い出してくれた“医療”に恩返しをしたいと思うようになりました。
そして、看護師になろうと決意します。
『あなたは生きなさい』
夢の中で語りかけてくる、優しい声に導かれるままに。
そして、10年後――
首都から少し離れた『古都神庫(かなくら)』の隣、少し寂れた田舎町・『百合ヶ浜』
看護学校を卒業した彼女は、その地元・百合ヶ浜にある病院で新人看護師としての第一歩を踏み出します。
彼女が就職した病院「百合ヶ浜総合病院」はベッド数50程度の、小規模の病院でしたが、ここには色々な人がいました。
「あたしたち、また良いコンビになれそうね!」
――高校時代に慕っていた、仲良しの先輩。
「いつまでも学生気分でいられるのは迷惑よ」
――厳しくも優しい、尊敬できる上司。
「あなた、それでも看護師なんですか?」
――ココロを開いてくれない、ワケアリの患者さん。
看護師として過ごす、おっかなびっくりな日常生活。
初めて触れる業務内容に目を白黒させたり。
叱られて泣いてしまったり。
けなげな患児に目を潤ませたり。
詰所内で繰り広げられるガールズトーク。
患者さんのベッドサイドで、「ありがとう」と言われる、ささやかな喜び。
元気になって退院する患者さんの背中を見送る時に感じる、嬉しさと、少しのさみしさ。
周囲の人たちと濃厚でハートフルな関わりの中、彼女はいろいろなものを吸収していきます。
ひとりの看護師として、そして、ただの女の子として。
経験を積み、いろいろな人と交流を重ねる中、彼女は、どう成長していくのでしょうか――。